「Rh マイナス B 型の血液を探している」というチェーンメール

このメールはチェーンメールかもしれない.このメールは本当なのか嘘なのか.それを確認する前に,「このメールを転送して」という内容のメールを転送してはいけません.それはルール違反です.

チェーンメールの発生から...

チェーンメールの説明,チェーンメールへの対処,そしてチェーンメールの事例は次のページにあります.

ここでは,このチェーンメールがどのようなことになったのかを追跡し,分かった事をまとめておきます.

予想された事

チェーンメールには連絡先メールアドレスとして A さんのメールアドレスが書かれた状態ひろまりました.このメールアドレスには沢山のメールが殺到するのは当然なのですが,やはりメールが殺到し,携帯電話のメールの容量オーバによって,メールの内容を確認する事ができなくなったようです.

まずい対応

携帯電話のメールを使ってのメールの受信ができなくなった A さんは,携帯電話にメールがくると,Yahoo! のメールアカウントから自動返信できるように設定しました.以下にその自動返信の内容を引用します.

ご連絡ありがとうございますxxxxです。現在、携帯メールの受信容量オーバーで本文が受信前に削除されてしまい対応しきれないので、自動返信にて失礼します。

RhマイナスBの輸血についてですが、実際の話は悪性リンパ腫患者の骨髄移植ドナー募集です。が、血液は血液センター・骨髄は骨髄バンクを通してしか提供出来ず、またプライバシーと公平さ保持のためドナーと患者は互いの素姓を知ることが出来ない決まりになってるそうです。なので当事者へ直接の連絡先や病状等一切お伝え出来ません。個人的に登録を頼んでもいけないそうです。

それでも納得していただけるなら骨髄バンクへ直接ご連絡いただくようお願いしております。都道府県・血液型は問いません。お騒がせして申し訳ありません。

移植ならびにドナー登録関連のご質問は全て骨髄バンク=財団法人骨髄移植推進財団へお寄せください。

引用終わり 以下省略

多くの人は,Rh(-)B 型の血液が必要だという内容のメールを受け取り,連絡先に問い合わせたところ骨髄バンクへの登録をすすめる内容のメールを受け取ることになります.

これは A さんにも正確な情報が伝わっていなかったために,多少の混乱があったのもあるでしょうが,あまり良い文章ではありませんでした.そしてこの引用文には骨髄バンクの連絡先が表示してあり,多くの人が骨髄バンクに連絡をすることになりました.

骨髄バンクに連絡をとったのは,Rh(-)B 型の血液型の人で,純粋に献血を考えた人ばかりではなく,受け取ったメールの真偽を確かめたいと思った人なども沢山いたはずです.結果として骨髄バンクでは,突然の問い合わせの嵐に対応しなければならなくなります.事態を収拾するために骨髄バンクとしてチェーンメールに対する情報をアナウンスします.そのアナウンスを以下に引用します.

日本骨髄バンクからのお知らせ<http://www.jmdp.or.jp/info/oshirase/index.html>より引用:

当財団を問い合わせ先としたチェーンメール(の疑いがあるもの)について (1)

04/21/2003

(財)骨髄移植推進財団 広報渉外部

4月21日(金)から当財団を問い合わせ先としたチェーンメール(の疑いがあるもの)が出回っておりますが、(財)骨髄移植推進財団はこのような不特定多数の方を対象として無作為にメールを送信するようなドナー募集業務は行っておらず、本件とはまったく関係ありません。問い合わせ先として当財団の連絡先が記載されているようですが、私どもの了解していないところで行われているものです。現在事実関係の確認を急いでおり、今後の対応等につきましては本日午後2時頃にこのページでお伝えいたします。とりあえずご了承くださいますようお願い申し上げます。

引用終わり

当財団を問い合わせ先としたチェーンメール(の疑いがあるもの)について (2)

04/21/2003

(財)骨髄移植推進財団 広報渉外部

この週末、「悪性リンパ腫の患者さんのため、供血者を探している」という内容のいわゆるチェーンメールが発信されています。善意ある皆様が当該の患者さんの窓口として掲載されたアドレスへの連絡をとると、骨髄バンクへのドナー登録を呼びかける内容が自動返信されるというものでした。

当財団(骨髄バンク)では、このメールにある患者さんを特定できておりませんし、発信された方との連絡が現在のところ取れておりませんので、事の真偽については不明です。

骨髄バンクは、特定の患者さんの救済を目的とするものではございません。多くの患者さんのため、骨髄のご提供をお考えいただける場合には、ご登録をお願いしたいと思います。

また、この患者さんのために献血をお願いする内容が本文にございましたが、血液疾患の患者さんには、骨髄移植を受ける場合も受けない場合も、輸血が必要な治療となることが多いものです。

今回、このメールではB型のRh(−)の血液型の方へ献血をお願いしておられましたが、輸血用の血液は血液センターから医療機関へ供給されるものです。当該メールの真偽にかかわらず、日頃より皆様方には、献血ルームや献血車での献血(特に常にRh(−)の血液は不足していますので)にご協力をお願いしております。

土日をはさんでいたものの、今まで当財団の対応が遅れたことにより、善意の皆さまには大変ご心配をおかけしたことと存じます。心よりお詫び申し上げます。

引用終わり

このアナウンスの文面から,さまざまな質問がされて丁寧にそれに対応していた事が読み取れます.

また日本赤十字社でもアナウンスを出しています.

日本赤十字社 赤十字ニュース<http://www.jrc.or.jp/cgi-bin/news/list1.cgi?KEY=2003/04/21%2020:27:27&TOPIC=kokunai>より引用:

B型Rhマイナスの血液に関するチェーンメールについて (2003/04/21)

平成15年4月19日(土)頃から「友人の手術のためB型Rhマイナスの血液を緊急に必要としています。」といった内容のチェーンメール(の疑いがあるもの)が出回っております。

日本赤十字社では、24時間体制で全国の医療機関に輸血用血液の供給を行っております。血液型別・種類別の過不足などが生じた場合においても、全国の日本赤十字社の血液センター間で血液の需給調整を行っており、その必要量を可及的速やかに供給する体制を整えております。

輸血用血液の供給については、以上のような体制を整えておりますので、ご安心ください。

また、現在、B型Rhマイナスの輸血用血液が不足している状況にはありません。

引用終わり

この日本赤十字社のアナウンスを,毎日新聞で記事としてとりあげています.

チェーンメールをたどる

途中で自分を連絡先にして精力的に動いた A さん

もともとのチェーンメールの発端により近い人だった A さんが,今回のチェーンメールについて説明する web サイトを開設しています.web サイトの説明として以下のような文章がありました.

2003年4月16日に知人へ送ったメールに端を発したチェーンメール事件の実状説明を目的として開設したサイト

このサイトで説明されている内容は,知人から Rh(-) B 型の血液型の人を探しているという内容のメールを受け取ったので,自分の知り合いに連絡をしたようです.その時にこのサイトの開設者である A さんは自分の名前とメールアドレスを連絡先として加えたのでしょう.おそらくこの時点ではチェーンメールとしての条件「このメールを転送してほしい」という内容があったはずです.

A さんも,情報は友人/知人からのまた聞きで,事態を把握するのに苦労したようです.

A さんがチェーンメールのもともとの発信元ではないようですが,A さんの後は A さんの名前とメールアドレスが書かれたメールがチェーンメールとして流れたようです.はじめは A さんは身近な人だけにメールしたためか,地域の情報が欠けていたのだと思います.メールが転送されて行く過程で,チェーンメールを受け取った人は,自分にメールを出した人が住んでいる地域の話題だと勘違いし,患者がどこに住んでいるかという情報についてはさまざまなバリエーションが派生することになっったようです.

チェーンメールの経路の途中で A さんが自分を連絡先にしたために,A さんが患者であるという勘違いも発生しています.骨髄移植では患者とドナーの間での直接交渉を防ぐ仕組みがあること,A さんが患者さんのプライバシーを大切に考えたこともあって,患者さんの情報が適切に保護されたので,患者さんについて足りない情報が伝言ゲーム中に勝手に間違った情報で補完されたりしたようです.

ボランティアサークル

このボランティアサークルの関与は現時点(2003/05/08)では誤情報ではないかとも思います.信頼できる情報が収集できませんでした.

[削除:某掲示板による情報では,関西の大学のボランティアサークルに,"悪性リンパ腫の治療のためRh−B型血液を探して欲しいと依頼" が来た事が発端だったようです.そのボランティアサークルは献血センターなどに連絡をとって,慎重に事をはじめたのですが,結果としてはチェーンメール騒ぎにつながって行きます.ボランティアサークル内での連絡にメーリングリストを利用していて,そこから外に情報がしみ出した時にチェーンメールになってしまったのかもしれません.その掲示板の情報では,実際に手術が行われ輸血も必要だったのですが,ボランティアサークルから近いところで見つかった人が輸血に協力したそうです.]

悪性リンパ腫では,骨髄移植が必要で,骨髄移植は骨髄液を注射するような処置なのだそうです.さらに骨髄移植では血液型は関係無いとのこと.(2003/05/08 追記)

チェーンメールの問題

今回のチェーンメールは携帯電話のメールがかなり利用されたようです.転送の仕方はさまざまで,途中で伝言ゲームのように書き直されたのもあったのか,表現の揺れ/内容の揺れが非常に大きくなったようです.

最初にチェーンメールの形でメールを送信した人も,受け取ったチェーンメールを転送した人も,同じくらいチェーンメールについて無知だったし,同じくらい悪い事をしたのです.

メールを転送することで,情報を伝達するのは,正確な情報伝えるのが難しい割に,情報伝達自体はとてもすばらく広範囲に行われます.拡散をはじめたチェーンメールは後から転送をやめさせることや内容の訂正をさせることが不可能です.チェーンメールの転送に関わった多くの人が,チェーンメールの内容が本当だったのか嘘だったのかを気にかけ,自分が関わったチェーンメールの転送という行為が良い事だったのか悪い事だったのか,どれくらい役になったのかどれくらい迷惑をかけたのかを気にする事になります.

はじめから決まっている事なのですが,チェーンメールはルールで禁止されている悪の行為です.チェーンメールは悪なのです.チェーンメールは絶対に転送してはいけません.

受け取ったメールをどう判断するか

「転送して」って書いてあったらチェーンメールだと思いましょう.受け取ったメールがチェーンメールかどうか分からないというのは,単にあなたが無知なだけなのです.あなたはチェーンメールについて誰からも正確な知識を教えてもらわなかったかもしれません.しかしながら,知らなかったからとは言ってもチェーンメールを転送したのは悪い事なのです.

とにかく次回からはどのような内容であってもチェーンメールは転送しないことです.単に無視すれば良いのです.