急性リンパ性白血病だから助けて!ってメールがチェーンメール化

チェーンメールは迷惑行為

チェーンメールだったら内容が嘘という訳ではありませんが,内容が本当のことだとしてもチェーンメールは迷惑行為です.

チェーンメールの全てがいたずらで悪意のあるものだとは限りません,本当に病気の人がいてその人を助けたいという気持ちから始まったメールでも「このメールを知人に転送してください」と書けば,それはチェーンメールになり周りを混乱させて沢山の人に迷惑をかけます.

まずは 2003 年の文書ですが,「チェーンメールについての質問と回答」というページがあるので,それだけでも読んでみてください.

今回のチェーンメールの内容

今回のチェーンメールは「三歳の子が急性リンパ性白血病だから助けて」という内容です.ここ数日で爆発的にこのチェーンメールが出回っています.
引用します:

私の知人の三歳の子が急性リンパ性白血病になってしまって、昭和医大に入院してるそうです!
RHマイナスB型の血液不足にて手術受けれない状態で、誰かRHマイナスB型の方いませんか!?
是非協力おねがいします!
1人の幼い子の命がかかっていて、とても危険な状態だそうです!
最寄りの献血センターで献血できるようなので、是非是非協力おねがいします!
分からないことあればいつでも連絡ください!
よろしくおねがいします!私も今から自分がどんな血液か調べにいってきます! 
私の携帯
090xxxxxxxx
友達にまわしまくってもらって結構です。
是非そうしてください!
なかなかない血液みたいで、私だけの人脈だと間に合わないのでおねがいします!

引用終わり.

これは本当なのでしょうか嘘なのでしょうか?そしてチェーンメールの何が問題なのでしょうか?

善意から始まるチェーンメールの典型的な流れ

善意から始まるチェーンメールはおよそ次のような筋書きで大混乱につながって行きます.

  1. 困っている人がいてどうにか助けたい.自分では助けられないので誰か力になってくれる人を捜そうと考えた善意の人が,「誰か助けてください.助ける事ができる人を紹介してください.このメールの内容をあなたの知人にも伝えてください.」という内容のメールを発信してしまいます.

  2. チェーンメールがインターネットのルールで禁止されている迷惑行為だと知っている人,また「このメールの内容を他の人にも伝えて」とか「このメールを他の人に転送して」と書いてあればチェーンメールであるとわかっている人が,問題のメールを見て「これはチェーンメールであって転送してはいけない.」と発言します.

  3. チェーンメールは全部嘘でいたずらだと勘違いしている人が,「これはチェーンメールであって転送してはいけない.」という意見を聞いて,「チェーンメールって事は嘘だったんだ!」って勘違いします.または「このメールの内容を他の人にも伝えて」と書いてある最初のメールの文面をみて,「これはチェーンメールで嘘に決まっている.だまされるな!」っていう勘違い発言をします.

  4. 大変なことになります.多くの人がチェーンメールの内容が嘘か本当かを議論します.そして連絡先に確認をとろうとします.さてどれくらいの人が確認を取ろうとするでしょうか?

普段は毎日 500 人未満の訪問者しかないこのチェーンメールについての Web サイトに 2008 年 2 月 21 日と 22 日の 2 日間だけで 2 万人くらいのアクセスがありました.ほとんどが今回の「急性リンパ性白血病だから助けて」ってチェーンメールについての情報を求めてのアクセスでしょう.実際にチェーンメールを受け取った人はその何倍も何十倍もあるはずです.

最初の人が知人 10 人にメールを発信して,その知人がまたその知人 10 人に転送したとして 100 通.
10 人ずつ転送すると,
最初の人の知人の知人の知人の知人が 1 万人で 10 万人にメールが送信されてしまいます.
実際にこういう事が起こってしまっています.だからぼくのチェーンメールについての Web サイトに何万人もの訪問者によるアクセスが集まるのです.

本当なのか嘘なのか? そこを問題にするから大混乱

このように多くの人に転送されたチェーンメールはあちこちで本当か嘘かと問題になり,多くの人が嘘だったのかだまされたと勘違いし,多くの人に迷惑をかけます.でも本当に大変な思いをするのは連絡先になった人です.

今回のチェーンメールの最初の文面には連絡先の電話番号がありました.おそらく多くの人からメールの事は本当なのか嘘なのかと問い合わせがあり,チェーンメールなど送るなと電話で意見されたりもあったと思います.あまり電話が集中すると本人にその気が無くても携帯電話会社がその電話を不通にしてしまう場合があります.電話のようなネットワークでは沢山の通話が特定の電話番号に集中すると問題になるのです.2003 年 4 月の悪性リンパ腫という病気で Rh マイナス B 型の血液を探しているという内容チェーンメールの時には,連絡先に自分の携帯電話のメールアドレスを掲載したチェーンメールの発信者に近い人は,携帯電話のメールを携帯電話会社に停止されたそうです.特定の携帯電話のメールアドレスにメールが集中すると携帯電話のネットワークに負担が大きくそのような対策がされたのだと思います.

連絡先の電話番号やメールアドレスに,本当か嘘かを確かめる為に連絡をとろうとするのは,とても良くないことです.特に医療機関に対して問い合わせるなんてのは,大変な迷惑行為なので絶対にやめるべきです.病院の電話受付は病院が必要な人のための連絡先であって,チェーンメールについての電話がひっきりなしにかかってくるなんて事になったらとても困るのです.今回はチェーンメールの文面で名前が出されてしまった昭和大学病院が,チェーンメールについての「緊急のお知らせ」を Web サイトに掲載しています.

内容を引用します:

当院の名前が記載されたチェーンメールについて

現在、「B型RHマイナスの血液が緊急に必要な患者さんが昭和大に入院しているので、該当する血液の人は献血所で献血をしてほしい」という趣旨のチェーンメールが出回っておりますが、このメールは当院と一切関係がございません。

引用終わり.

もし本当に病気の子供がいたとしても,「このメールを転送してください」という内容であればチェーンメールです.そしてそのようなメールを昭和医大が発進したのでなければ,昭和医大はメールは昭和医大とは関係無いと説明するしかありません.

そして人命にかかわろうがそうでなかろうが,昭和医大としては「そのような患者が実際にいます」とも「いません」とも発表しない訳です.

結論:これだけは分かってほしい

今回のチェーンメールについて,多くの人に理解してもらいたい事は簡単には次の事です.

チェーンメールだとしても全てが嘘だとはかぎりません.でも「知人に転送して」というメールはチェーンメールであり,本当でも嘘でも転送してはいけません.転送することが迷惑行為だと思ってください.チェーンメールを受け取ってもそれが本当なのか嘘なのかをどこかに問い合わせたりしないようにしてください.

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